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佞辯
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ねいべん
扨も内記殿は左仲が樣子
佞辯奸智の
曲者と見て取り大いに
怪まれけれ共
先一ト通り事を
糺して見んと思はれ猶又左仲に
對ひ其方儀家の支配を
飽まで
欺く長庵が
佞辯奸智極惡は
譬るに物なしと後にぞ思ひ知られけり十兵衞は
兄長庵が
巧みのありとは少しも知らず
然樣ならば
頂戴ますと
己れが出たる三兩を再び
胴卷の金と一
緒に
仕舞込を
扨も檢使には
掛り合の者一同
召連て北の番所へ(
幕府の頃は町奉行兩人有て
南北と二ヶ所に
役宅あり)
歸りしかば中山出雲守殿へ檢使の次第を
言上且夫々の口書を
差出しけるに出雲守殿も長庵が
佞辯を