余興よきょう)” の例文
明治三十八年五月四日の午後、阿吉牛堡あきつぎゅうほうとどまっていた、第×軍司令部では、午前に招魂祭しょうこんさいを行ったのち余興よきょうの演芸会をもよおす事になった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
う/\、道場新築祝いだった。その折、余興よきょうに琵琶があった。忘れもしない。敦盛あつもり熊谷くまがいに討たれるところだった。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
甘口は十二カ月の張り合いから、上戸は笑い、泣き、怒りとあまり香ばしくもない余興よきょうが出るまで、差しつ差されつ小酒宴こざかもりに時を移して、永くなったとはいうものの
この芸妓げいしゃは、昨夜ゆうべ宴会えんかい余興よきょうにとて、もよおしのあった熊野ゆやおどりに、朝顔にふんした美人である。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
当時の吉原は名物の花魁道中おいらんどうちゅうは既に廃止されていたが、まだ派手気の残っていた頃のことだから、祭礼の余興よきょうには芸者の手古舞、幇間ほうかんの屋台踊などいろんな催しものがあった。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
御意ぎょいのままに何なりと、トシ子さんとあなたの結婚式に一世いっせ一代の余興よきょうでもやりますよ」
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あっしは、旅まわりの腹話術師ふくわじゅつしです。おやかたのグランド=サーカスの余興よきょうに、つかっていただきたいと思いまして。腹話術は東京の名人たちにも、ひけはとらないつもりです。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
こんなふうにして、親方が余興よきょうにしくんだ狂言きょうげんはあっけなく結末けつまつがついた。
しかし酔余すいよ余興よきょうに、三、四度伺候しこうしたことがある。
新古細句銀座通 (新字新仮名) / 岸田劉生(著)