“仰(あ)” の例文
「なぜ?」ト仰(あ)お向けざまにねころぶ拍子に、両手を頭に敷きながら、あたかも胸から押しだしたような声で尋ねた。
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
ここに少憩して付近の勝(しょう)を探ぐり、はるかに左方春日山(かすがやま)の城跡(じょうせき)を仰(あ)おいで、曠世(こうせい)の英傑上杉輝虎(てるとら)の雄図を偲(しの)び、夕陽(せきよう)斜めに北海の怒濤(どとう)を照(てら)すの夕闇に、潮(うしお)鳴(な)りの物凄き響きをききつつ
……ですからこのような秘密を打ち明けて先生の御判断を仰(あ)おぐのです。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やがて女は蒼(あおざ)めた顔を仰(あ)げて
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
青銅の框(わく)を嵌(は)めた眼鏡を外套の隠袋(かくし)から取りだして、眼へ宛(あて)がおうとしてみた、がいくら眉を皺(しか)め、頬を捻じ上げ、鼻まで仰(あ)お向かせて眼鏡を支えようとしてみても
あいびき (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)