仙蔵せんぞう)” の例文
「そうともそうとも。こうなったら、いそいでくれろとたのまれても、あしがいうことをきませんや。あっしと仙蔵せんぞうとの、役得やくとくでげさァね」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
原来がんらい平井氏は善書ぜんしょの家である。祖父峩斎がさいはかつて筆札ひっさつ高頤斎こういさいに受けて、その書が一時に行われたこともある。峩斎、通称は仙右衛門せんえもん、その子を仙蔵せんぞうという。のち父の称をぐ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そりゃァもう仙蔵せんぞうのいうとお真正しんしょう間違まちげえなしの、きたおせんちゃんを江戸えど町中まちなかたとなりゃァ、また評判ひょうばん格別かくべつだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
折角せっかくまえさんをせながら、たれをおろしてかついでたんじゃ、勿体もったいなくって仕方しかたがねえ。はばかンながら駕籠定かごさだたけ仙蔵せんぞうは、江戸えどばんのおせんちゃんをせてるんだと、みんなにせてやりてえんで。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)