人畜にんちく)” の例文
それとも私が人間でなくなるのか? ……何方どっちだか其は分らんが、兎に角互の熱情熱愛に、人畜にんちく差別さべつ撥無はつむして、渾然として一にょとなる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
人畜にんちくの道ことにして。その欲を得遂げざれども。耳に妙法のたときをきゝて。…………おなじ流に身をなげて。共に彼岸かのきしに到れかし。
女紅場ぢよこうばで、お師匠ししやうさんをなさります、のおこゝろうちぞんじながら、勿體もつたいない、引張ひつぱりの地獄宿ぢごくやどで、たこあしかじりながら、袖崎そでさき御新姐ごしんぞ直傳ぢきでんだ、と紀伊國きいのくに音無瀬川おとなせがはきつねいた人畜にんちく
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(もはや、お二方に対しましては、……御夫婦に向いましては、立って身を支えるにも堪えません、一刻も早くこの人畜にんちく行為おこないに対する、御制裁を待ちます。即時に御処分のほどを願います。)
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
障子を蹴放けはなして驀地まつしぐら躍込おどりこめば、人畜にんちく相戯あひたはむれてかたの如き不体裁。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)