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乾枯
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ひから
ふりがな文庫
“
乾枯
(
ひから
)” の例文
そしてその附近一帯に、もう
乾枯
(
ひから
)
びて固くなりかかった赤黒い液体の
飛沫
(
しぶき
)
が、点々と目につきだした。女中が黄色い声をはりあげた。
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
恐らく、それと共に、今日の僕の記憶力も、臨終の床に夢を見る
老耄
(
おいぼ
)
れどもの
乾枯
(
ひから
)
びた脳髄と同じくらいに衰耗しているのに違いない。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
あの
乾枯
(
ひから
)
びたシャモの
頸
(
くび
)
のような
咽喉
(
のど
)
からドウしてアンナ艶ッぽい声が出るか、声ばかり聞いてると
身体
(
からだ
)
が
融
(
と
)
けるようだが、顔を見るとウンザリする
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
須彌壇
(
すみだん
)
の花立てには、何時
活
(
い
)
けたとも知れぬ花の枝が
乾枯
(
ひから
)
びて、焚き付けにでもなりさうになつてゐた。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
総一郎は封筒を
逆
(
さか
)
さにふってみた。すると娘の云ったとおり、机の上にポトンと蠅の死骸が一匹、落ちてきた。それはぺちゃんこになった
乾枯
(
ひから
)
びた家蠅の死骸だった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
這うようになおも辺りを見れば、飯粒の
乾枯
(
ひから
)
びたの、鰹節の
破片
(
かけら
)
などが、染甕の内外に、
些少
(
すこし
)
だが散らばっている。釘抜藤吉、突然上を向いて狂人のように笑い出した。と
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
乾枯
(
ひから
)
びた
薔薇
(
ばら
)
などを
口實
(
いひわけ
)
ほどに
取散
(
とりち
)
らして
貧羸
(
みすぼ
)
らしう
飾
(
かざ
)
った
店附
(
みせつき
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
半分
乾枯
(
ひから
)
びかかった茶褐色の泡の羅列が、
船縁
(
ふなべり
)
から平均一
呎
(
フィート
)
ほどの下の処に、船縁に沿って、一様に船をぐるっと取り巻くようにして長い線を形造っているだけだ。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
言語學といふ
乾枯
(
ひから
)
びたやうな學問の教ふるところは別として、たとへば日本語の
柄杓
(
ひしやく
)
といふ言葉を聞くと、それが如何にもあの液體を掬ふ長い柄の附いた器物のやうに思はれるし
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
先輩は「過去」という亡霊が今なお生きていると錯覚して、後輩を失敬にもこの
乾枯
(
ひから
)
びた枠の中に入れて眺め、さて、自信がないものだから、おしまいには決まってお世辞を言う。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
余り評判にもならなかったが、那翁三世が幕府の遣使栗本に兵力を貸そうと提議した顛末を
夢物語風
(
ゆめものがたりふう
)
に書いたもので、文章は
乾枯
(
ひから
)
びていたが月並な翻訳伝記の『経世偉勲』よりも面白く読まれた。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
乾
常用漢字
中学
部首:⼄
11画
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“乾”で始まる語句
乾
乾児
乾坤
乾分
乾物
乾燥
乾酪
乾坤一擲
乾干
乾草