乱箭らんせん)” の例文
旧字:亂箭
さらには、意外な方角からも、石火矢いしびやうなりが火をいて樹林をふるわせ、そこらの巨木の上からも乱箭らんせんが降りそそいでくる始末だ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
げたの乱箭らんせんが飛ぶかと思う一刹那せつな
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
曹操はうれしさにすぐ跳び乗って馳けだしたが、百歩とも駈けないうちに、曹昂は、敵の乱箭らんせんにあたって、戦死してしまった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仰げば、蜀の旌旗せいきばかりではないか。城頭には蜀の大将魏延ぎえんが、射よ射よと声をからして、乱箭らんせんを励ましている姿も見える。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱箭らんせんの下に仆れる城兵も無数であった。城代の車冑は、うまやから馬を引き出すと、一目散に、門楼をこえて、逃げだしたが
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一下の号令とともに乱箭らんせんの雨がたちどころに彼の姿をつつみ、その口からはくが如く、また血を吐く如き一声が
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敵はまださとらず——と思ったか全軍を分散して、城の東西南北に分ち始めた。と思うまに城の上から数千のいしゆみがいちどにつるを切って乱箭らんせんを浴びせてきた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、呆れ惑いながら、姜維は眼に涙をたたえ、ぜひなく乱箭らんせんを避けて、長安のほうへ落ちのびて行った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
李俊りしゅん張横ちょうおう、張順、穆弘ぼくこうらも、濠水ほりみずに入って、敵塁てきるいに取りすがろうと企てたが、つぶて、乱箭らんせん、石砲などに会って寄りつけず、陸上の戴宗たいそう、白勝も唖然あぜんたるばかりで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱箭らんせんの交換に、雲は叫び、肉闘剣戟にくとうけんげきの接戦となって、は裂け、旗は折れ、天地は震撼しんかんした。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身をかくすひまもあらばこそ、矢風の中にいなないた彼の白馬はたちまちくれないに染まり、雨よりしげき乱箭らんせんの下に、あわれむべし鳳雛ほうすう先生——龐統は、稀世の雄才をむなしく抱いて
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九歳の時董卓とうたくに擁立されて、万乗の御位について以来、戦火乱箭らんせんの中に幾たびか遷都し、荊棘けいきょくの道に飢えをすら味わい、やがて許昌に都して、ようやく後漢の朝廟に無事の日は来ても
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それっ、太史慈が出たぞ」と合図しあうと、八方の闇から乱箭らんせんが注がれてきた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、そこへ迫るやいな、まず乱箭らんせんの雨に見舞われた。——逆風なので矢向きは不利と初めから菊池方では接戦を主眼としている。ほとんど、こっちの矢は一矢いっしも役に立っていない。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄砲、乱箭らんせんを浴びせられたあげく、全部隊の半分は、僧兵のために殺された。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いちはやく龍座りゅうざへせまって、天子と皇后を無理無態にくるまへうつし、謀臣の賈詡かく、武将左霊されいのふたりを監視につけ、泣きさけび、追い慕う内侍や宮内官などに眼もくれず、後宰門こうさいもんから乱箭らんせんの巷へと
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)