主君きみ)” の例文
「ふうむ」と甚五衛門は頷いたが、「詳細くわしいことは奥で聞く、門外に大勢たむろしては、主君きみへの聞こえも恐れ多い。皆々門内へ入れますように」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今世こんせ主君きみにも未來みらい主君きみにも、忠節ちうせつのほどあらはしたし、かはあれど氣遣きづかはしきは言葉ことばたくみにまことくなきがいまつねく、誰人たれびと至信ししん誠實せいじつに、愛敬けいあいする主君きみ半身はんしんとなりて
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御裁決を仰いでおりますが、いつも、わが主君きみのおゆるしがないために
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この老人の一大事なんど、耳にしようとは思わぬが、主君きみ御大事おんだいじと聞くからには打ちすて置く訳にも参るまい、していったいその大事とは?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かえって主君きみの非をあばき、ご寵愛ちょうあい著しい鳰鳥におどり殿に無礼の振舞い致す段臣下の身として許し難し、よって速かに罪を謝し謹しんで主命を奉ずればよし
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)