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丑寅
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うしとら
ふりがな文庫
“
丑寅
(
うしとら
)” の例文
八州屋孫右衛門は雨に濡れた衣服のまま頭部をめちゃめちゃに叩き毀されて、
丑寅
(
うしとら
)
を枕に、味噌蔵の入口に倒れていた。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それが明神様のお告げでは
丑寅
(
うしとら
)
の方の山手にいると云う訳なので、一間置きぐらいに人が立って、八方から山を囲んで登って行こうとしていました。
紀伊国狐憑漆掻語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しんしんと更ける
丑寅
(
うしとら
)
の刻、——いまでいうと午前三時半という頃おいであろうか、一学が眼をさましたときは、屋敷の中は乱闘のまっ最中であった。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「俺の方が餘つ程
呆
(
あき
)
れるよ。そんなに向島が眺めたかつたら、
縁側
(
えんがは
)
に昇つて背伸して見ろ、
梁
(
はり
)
に顎を引つかけると、
丑寅
(
うしとら
)
の方にポーツと櫻が見える——」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ナニ、大したことはござんせんがね、これが
丑寅
(
うしとら
)
に変らなけりゃあ大丈夫ですよ。そんなことはありゃしませんよ。それでもこの分じゃ、ちっとばかり荒れますよ」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
時には九十六
間
(
けん
)
からある長い橋の上に立って、木造の欄干に
倚
(
よ
)
りかかりながら
丑寅
(
うしとら
)
の方角に青く光る遠い山を望んだ。どんな暑苦しい日でも、そこまで行くと風がある。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
其時一神の君大に悦び、いかに小摩、汝がりう早く聞(開?)かせん。是より
丑寅
(
うしとら
)
の方にあたつて、とふ坂山といへるあり。七つの谷の
落合
(
おちあい
)
に、りう三つを得さすべし。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
見る物がなくなって、空を見ると、黒雲と白雲と一面に
丑寅
(
うしとら
)
の方へずんずんと動いて行く。次第に黒雲が少くなって白雲がふえて往く。少しは青い空の見えて来るのも嬉しかった。
飯待つ間
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
流れを
溯
(
さかのぼ
)
って、方角は
寅
(
とら
)
と
卯
(
う
)
の境あたりに取った。その先にある某地点、この谷川の水が
丑寅
(
うしとら
)
の方向に転ずるところ、そこが第二の
屯営
(
とんえい
)
であろう。ひそかに大野順平は自分の胸にそう期していた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
丑寅
(
うしとら
)
の強風が滝のような雨とともに火花を散らして吹きつけてきた。
重吉漂流紀聞
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「俺の方がよっぽど呆れるよ。そんなに向島が眺めたかったら、縁側に昇って
背伸
(
せのび
)
して見ろ、
梁
(
はり
)
に顎を引っかけると、
丑寅
(
うしとら
)
の方にポーッと桜が見える——」
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
真黒な三つの塊りが川の字形に跡を踏んで
丑寅
(
うしとら
)
の角へ動いて行ったのは、あれで、かれこれ九つに近かった。
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
餞別
(
せんべつ
)
というほどでもねえが、裏街道を通って
萩原入
(
はぎわらい
)
りから大菩薩峠を越す時に、峠の上の妙見堂から
丑寅
(
うしとら
)
の方に大きな栗の木があるから、その
洞
(
うつろ
)
の下を五寸ばかり掘ってみてくれ
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それにしても、江戸両国の橋の上から
丑寅
(
うしとら
)
の方角に遠く望んだ人たちの動きが、わずか
一月
(
ひとつき
)
近くの間に伊那の谷まで進んで来ようとは半蔵の身にしても思いがけないことであった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
此方
(
こちら
)
には——(
戌亥
(
いぬい
)
に五歩、
丑寅
(
うしとら
)
に七歩、石猿を叩いて道自ら開くべし)——とある」
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「風が変った、
丑寅
(
うしとら
)
が
戌亥
(
いぬい
)
に変ったぞ、気をつけろやーい」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ここから
丑寅
(
うしとら
)
の方に立派に生きております」
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうすると早くも認めた
丑寅
(
うしとら
)
の方一隅に向って
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
丑
漢検準1級
部首:⼀
4画
寅
漢検準1級
部首:⼧
11画
“丑寅”で始まる語句
丑寅櫓