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じやうでき
ラクダルは
無言のまゝ
手眞似で
其處へ
坐らした。
親父は
當前に
坐る、
愚息はゴロリ
臥ころんで
足を
蹈伸す、この
臥轉び
方が
第一上出來であつた。
三人は
其まゝ
一言も
發しない。
珍らしい
上出來だと
思つて
感心してゐる。
そして
心中ひそかに
不平でならぬのは
志村の
畫必ずしも
能く
出來て
居ない
時でも
校長をはじめ
衆人がこれを
激賞し、
自分の
畫は
確かに
上出來であつても、さまで
賞めて
呉れ
手のないことである。