万金丹まんきんたん)” の例文
越中富山の万金丹まんきんたんでも、熊の胃でも、三光丸でも五光丸でも、ぐっと奥歯に噛みしめてにがいが男、微笑、うたを唄えよ。私の私のスウィートピイちゃん。
HUMAN LOST (新字新仮名) / 太宰治(著)
ひでえにもひどくねえにも、よく仲間がやる落語に「万金丹まんきんたん」てのがあって、道に迷った江戸っ子二人、山寺へ一夜の宿を借りると、世にも奇妙な味の雑炊をたべさせられる。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
あっしゃァ質屋しちやしちと、万金丹まんきんたんたんだけしきゃけやせんが、おせんは若旦那わかだんなのお名前なまえまで、ちゃァんと四かくけようという、水茶屋女みずぢゃやおんなにゃしいくらいの立派りっぱ手書てがき。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
また万金丹まんきんたん下廻したまはりには、御存ごぞんじのとほり、千筋せんすぢ単衣ひとへ小倉こくらおび当節たうせつ時計とけいはさんでます、脚絆きやはん股引もゝひきこれ勿論もちろん草鞋わらぢがけ、千草木綿ちくさもめん風呂敷包ふろしきづゝみかどばつたのをくびゆはへて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このまた万金丹まんきんたん下廻したまわりと来た日には、ご存じの通り、千筋せんすじ単衣ひとえ小倉こくらの帯、当節は時計をはさんでいます、脚絆きゃはん股引ももひき、これはもちろん、草鞋わらじがけ、千草木綿ちぐさもめん風呂敷包ふろしきづつみかどばったのを首にゆわえて
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)