万夫不当ばんぷふとう)” の例文
張大帥はすなわち燕人えんじん張翼徳ちょうよくとくの後裔で、彼が一度丈八の蛇矛じゃぼこを支えて立つと、万夫不当ばんぷふとうの勇がある。誰だって彼に抵抗することは出来ない
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
また次なる張遼、許褚きょちょ李典りてん楽進がくしんともがらは勇においてすぐれ、その勇や万夫不当ばんぷふとう、みな千軍万馬往来の士である。なお見よ。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土子土呂之介つちことろのすけに剣を学び、天真正伝神道流では万夫不当ばんぷふとうだということや、利休好みの茶の十徳じっとくに同じ色の宗匠頭巾、白の革足袋に福草履、こういうおとなしい風采みなりをして
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
むしろ年と共にその騎乗奮戦の技はしんに入って、文字どおり万夫不当ばんぷふとうだ。まったく戦争するために、神が造った不死身の人間のようであった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、秀吉は、そのつけ目だけを利用して、これらの万夫不当ばんぷふとうや、扱い難い猪勇ちょゆうの同僚を、敢えて麾下に見るの冒険を試みているほどの無分別でもない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呼延灼こえんしゃくをごらんあって、徽宗もたいそう頼もしがられた。風貌、物ごし、音声おんじょう、まさに万夫不当ばんぷふとう骨柄こつがらである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、敵軍のさかんなことや、敵将華雄の万夫不当ばんぷふとうの勇名に圧しられてか、なんとなく会も萎縮していた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貞盛にも、万夫不当ばんぷふとうの勇があるわけではない。真樹、忠太の考え方は、そのまま貞盛の分別でもあった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
評定ひょうじょうのあかりは、晃々こうこうと照って、席には一族の権六勝敏ごんろくかつとし、おなじく勝豊かつとよ徳山則秀とくやまのりひで不破光治ふわみつはる、小島若狭守わかさのかみ毛受勝介めんじゅかつすけ佐久間玄蕃允さくまげんばのじょうなど、万夫不当ばんぷふとうの北国衆が
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
具足はつけているがかぶとはいただいていない。鉢巻から逆立つ乱髪は一炬いっきょほのおのように赤ッぽく見え、その大きな双眸そうぼうの光と共に、いかにも万夫不当ばんぷふとうのさむらいらしく見えた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けんを持っては万夫不当ばんぷふとうのかれではないから、無念むねんや、そこへ追われてきた伊那丸と咲耶子のすがたを見ながら、四天王てんのうの天野、猪子、佐分利などにささえられて近よることもできない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「せっかくだが、敵の副将張郃は、万夫不当ばんぷふとうの勇、張翼では相手に立てまい」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この要害に、董卓自ら守りに当って、十二万の兵を鎮し、さらに三万の精兵を前衛に立てて、万夫不当ばんぷふとうといわれる呂布をその先手に置いたのであるから、まさに金城鉄壁の文字どおりな偉観であった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
許褚もまた「当代の樊噲はんかい」とゆるされた万夫不当ばんぷふとうである。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「けれど、世のことわざにも、掌中ノモノ必ズシモ掌中ノ物ナラズ——ということもあります。曹操が残して行った曹仁は北国の万夫不当ばんぷふとう。おそらく周都督のお手にはやすやすと落ちないのではないかと案じられますが」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)