一艘いつさう)” の例文
一艘いつさう造りあげるまでに職工は何人死ぬちふ予算がちやんとしてあるだ。死ねばたつた三百円貰ふきりだ。後に残つた家族が貰ふだ。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
おどろいてつむりげると、いましも一個いつこ端艇たんてい前方ぜんぽう十四五ヤードの距離へだゝりうかんでる、これ先刻せんこく多人數たにんずうつたために、轉覆てんぷくしたうち一艘いつさうであらう。
良寛さんの眼は、出島でじまの先を通つて、今長崎の港を出てゆくところの、一艘いつさうの帆船にとまつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
月の光に漂ふは手負ておひせたる船一艘いつさう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
暴風雨あらしなか遊船よつと一艘いつさう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)