蔵原伸二郎
1899.09.04 〜 1965.03.16
著者としての作品一覧
秋(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
釣竿の影がうつつている この無限の中で 釣をする人は しつかり岩の上に坐つたまま ねむつている ねむつたまま竿をにぎつている 今日は川魚たちの祝祭日 みんな青い時間の流れにそつて …
読書目安時間:約1分
釣竿の影がうつつている この無限の中で 釣をする人は しつかり岩の上に坐つたまま ねむつている ねむつたまま竿をにぎつている 今日は川魚たちの祝祭日 みんな青い時間の流れにそつて …
足跡(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
ずつと昔のこと 一匹の狐が河岸の粘土層を走つていつた それから 何万年かたつたあとに その粘土層が化石となつて足跡が残つた その足跡を見ると、むかし狐が何を考えて 走つていつたのか …
読書目安時間:約1分
ずつと昔のこと 一匹の狐が河岸の粘土層を走つていつた それから 何万年かたつたあとに その粘土層が化石となつて足跡が残つた その足跡を見ると、むかし狐が何を考えて 走つていつたのか …
岩魚(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
——宋青磁浮紋双魚鉢—— 五月のあかるい昼さがり あまりに生の時間が重いので 私はひとり青磁の鉢を見ている 空いろの底に 二匹の岩魚が見えたりかくれたり すぎる風に水がゆれると 岩 …
読書目安時間:約3分
——宋青磁浮紋双魚鉢—— 五月のあかるい昼さがり あまりに生の時間が重いので 私はひとり青磁の鉢を見ている 空いろの底に 二匹の岩魚が見えたりかくれたり すぎる風に水がゆれると 岩 …
岸辺(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
冬の日がかんかん照つていた 川岸の枯草の中から首だけ出して 八十九歳の老人が釣をしていた 釣竿をもつたまま 水に映るちぎれ雲の間をおよぐ 冬の魚たちと昔話をしながら 老人は死んでい …
読書目安時間:約2分
冬の日がかんかん照つていた 川岸の枯草の中から首だけ出して 八十九歳の老人が釣をしていた 釣竿をもつたまま 水に映るちぎれ雲の間をおよぐ 冬の魚たちと昔話をしながら 老人は死んでい …
狐(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
野狐の背中に 雪がふると 狐は青いかげになるのだ 吹雪の夜を 山から一直線に 走つてくるその影 凍る村々の垣根をめぐり みかん色した人々の夢のまわりを廻つて 青いかげはいつの間にか …
読書目安時間:約3分
野狐の背中に 雪がふると 狐は青いかげになるのだ 吹雪の夜を 山から一直線に 走つてくるその影 凍る村々の垣根をめぐり みかん色した人々の夢のまわりを廻つて 青いかげはいつの間にか …
五月の雉(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
風の旅びとがこつそり尾根道を通る ここはしずかな山の斜面 一匹の雌きじが卵を抱いている 青いハンカチのように 夕明かりの中をよぎる蝶 谷間をくだるせせらぎの音 ふきやもぐさの匂いが …
読書目安時間:約4分
風の旅びとがこつそり尾根道を通る ここはしずかな山の斜面 一匹の雌きじが卵を抱いている 青いハンカチのように 夕明かりの中をよぎる蝶 谷間をくだるせせらぎの音 ふきやもぐさの匂いが …
自序にかえて:――読売文学賞受賞の言葉――(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
はからずも権威ある読売文学賞を受賞して驚くとともに、たいへんうれしく思つています。 もともと詩集『岩魚』(初版)は、飯能在住二十年を祝つてくれる意味で、飯能市の若い詩人たちが計画出 …
読書目安時間:約2分
はからずも権威ある読売文学賞を受賞して驚くとともに、たいへんうれしく思つています。 もともと詩集『岩魚』(初版)は、飯能在住二十年を祝つてくれる意味で、飯能市の若い詩人たちが計画出 …
“蔵原伸二郎”について
蔵原 伸二郎(くらはら しんじろう 1899年9月4日 - 1965年3月16日)は熊本県出身の詩人、作家、評論家。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
“蔵原伸二郎”と年代が近い著者
今月で生誕X十年
今月で没後X十年
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)