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『岸辺』
ふりがな文庫
『
岸辺
(
きしべ
)
』
冬の日がかんかん照つていた 川岸の枯草の中から首だけ出して 八十九歳の老人が釣をしていた 釣竿をもつたまま 水に映るちぎれ雲の間をおよぐ 冬の魚たちと昔話をしながら 老人は死んでいた ちかちかと 日はかたむいていた 一匹の紋白蝶が よたよた …
著者
蔵原伸二郎
ジャンル
文学 > 日本文学 > 詩歌
初出
鴉「詩学」1964(昭和39)年1月号 暗号「詩学」1955(昭和30)年10月号
文字種別
新字新仮名
読書目安時間
約2分(500文字/分)
朗読目安時間
約4分(300文字/分)