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ゐどばた
西日に
乾く
井戸端の
目笊に、
殘ンの
寒さよ。
鐘いまだ
氷る
夜の、
北の
辻の
鍋燒饂飩、
幽に
池の
石に
響きて、
南の
枝に
月凄し。
女房曰く、
御大層な事をお言ひでないうちのお米が
井戸端へ持つて出られるかえ
其儘鳴りの
鎮つたのは、
辛辣な後者の
勝に帰したのだらう(十八日)
二人はそれから
田圃の中にある百姓家を訪れた。百姓家では薄汚い
女房さんが、
裸足のまゝ
井戸側で
釣瓶から口移しにがぶがぶ水を飲んでゐた。