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どよう
土用のうちの
霖雨を、
微恙の蚊帳のなかから眺め、
泥濁つた渤海あたりを、
帆船が
漁つてゐる、曾て見た
支那海あたりの雨の
洋中をおもひうかべる。
「
行々子土用へ
入えつた
見てえに、ぴつたりしつちやつたな」と
呶鳴つたものがあつた。
漸く
靜まつた
群集は
少時どよめいた。
然し
直に
復た
靜まつた。
「
明日は、
土曜だから、
学校から
帰ったら、
川へいって、
魚捕りをしよう。」と、たがいにいって、
別れました。
土曜の
日には、
早くからここへきて、
父親は
尺八を
鳴らしたのでした。