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とよをか
豐岡から
來る
間、
夕雲の
低迷して
小浪に
浮織の
紋を
敷いた、
漫々たる
練絹に、
汽車の
窓から
手をのばせば、
蘆の
葉越に、
觸ると
搖れさうな
思で
通つた。
嘗て、ものに
記して、
東海道中、
品川のはじめより、
大阪まはり、
山陰道を
通じて、
汽車から、
婀娜と、しかして、
窈窕と、
野に、
禽類の
佳人を
見るのは、
蒲田の
白鷺と、
但馬豐岡の
鶴ばかりである
天にます
豊岡姫の宮人もわが志すしめを忘るな