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ちようだい
おつと、
麦酒かい、
頂戴。
鍋は風早の方へ、煮方は
宜くお頼み申しますよ。うう、好い
松茸だ。京でなくてはかうは行かんよ——中が
真白で、
庖丁が
軋むやうでなくては。
此人始めは
大藏省に
月俸八
圓頂戴して、
兀ちよろけの
洋服に
毛繻子の
洋傘さしかざし、
大雨の
折にも
車の
贅はやられぬ
身成しを、一
念發起して
帽子も
靴も
取つて
捨て
「
叔母さん、ぢや
此屏風は
頂戴して
行きませう」と
云つた。