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ざんしよ
「お
話に
成りません。……
彼岸も
近い、
殘暑もドン
詰りと
云ふ
處へ
來て、まあ、
何うしたつて
云ふんでせうな。」
宗助の
此處を
訪問したのは、十
月に
少し
間のある
學期の
始めであつた。
殘暑がまだ
強いので
宗助は
學校の
徃復に、
蝙蝠傘を
用ひてゐた
事を
今に
記憶してゐた。
残暑の
夕日が一しきり夏の
盛よりも
烈しく、ひろ/″\した
河面一帯に燃え立ち、
殊更に大学の
艇庫の
真白なペンキ
塗の
板目に反映してゐたが