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ざふだん
「どうぞねえお
内儀さん」
老母もいつた。
内儀さんはそれから
又暫く
雜談をして
皆で
笑つて
歸つた。
立出
道すがら
昨夜の相方は
斯々なりなどと
雜談を云つゝ一本の
傘に三人が
小雨を
凌ぎながら品川を後にして
高輪より
札の
辻の方へ
差掛りける處に夜の引明なれば未だ
往來は
人影もなく向ふを
さてさま/″\の
雑談のなかにあるじのつま
牧之に、
歳こしの夜は鬼の
来るとて江戸には
厄払ひといふものありて鬼を
追ふ事をおもしろくいひたてゝ
物乞ひすときゝしが、むかしもさる事ありしや