-
トップ
>
-
さしうつむい
助んと
云心底は
嬉しけれども
其は
無益の事なり我は
其外にも
科多ければとても
遁れぬ
身なるにより
尋常に
科を
蒙らんと申にぞ喜八は
差俯向て
詞なし大岡殿暫時
兩人の
詞を
貰ひしやと
尋問られしかば吉三郎はつと
當惑の體にて
密通致し
貰ひしとは大勢の中
故云兼只差俯向て
詞なし大岡殿
重ねて
此二品の
出處知れざれば盜賊の
名遁れ
難し其方
竊に通じて娘に
貰ひしやと
正鵠を
見付られたりと云ひ只今富が申立に
泥みてたゞ寢て居た處などと云ひ
紛らせし段
重々不屆至極なり假令此上如何樣に
陳ずる共決して申譯は相立ずと
天眼通の一言に流石の長庵
否夫はと云たばかりで答へもなく
差俯向て居たりしかば大岡殿長庵を