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さしうつむ
ト云ッて
差俯向いた、文三の懸けた
謎々が解けても解けない
風をするのか、それともどうだか
其所は判然しないが、ともかくもお勢は
頗る無頓着な
容子で
夫人はフッと言葉を切ると、そのまま堪え兼ねた様に
差俯向いて
了った。
満枝は
忽ち声を
斂めて、物思はしげに
差俯き、莨盆の
縁をば
弄べるやうに
煙管もて
刻を打ちてゐたり。折しも電燈の光の
遽に
晦むに驚きて顔を
挙れば、又
旧の如く
一間は
明うなりぬ。
老の一徹短慮に
息卷き
荒く罵れば、時頼は默然として只〻
差俯けるのみ。