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差俯
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さしうつむ
ふりがな文庫
“
差俯
(
さしうつむ
)” の例文
今、この瞳に宿れる
雫
(
しずく
)
は、母君の
御情
(
おんなさけ
)
の露を取次ぎ参らする、
乳
(
ち
)
の
滴
(
したたり
)
ぞ、と
袂
(
たもと
)
を傾け、差寄せて、
差俯
(
さしうつむ
)
き、はらはらと落涙して
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又思いがけない殿様の御意に驚き、顔を
赧
(
あか
)
らめて
差俯
(
さしうつむ
)
いて居りますを、奥方は気の毒に思召して
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
満枝は
忽
(
たちま
)
ち声を
斂
(
をさ
)
めて、物思はしげに
差俯
(
さしうつむ
)
き、莨盆の
縁
(
ふち
)
をば
弄
(
もてあそ
)
べるやうに
煙管
(
きせる
)
もて
刻
(
きざみ
)
を打ちてゐたり。折しも電燈の光の
遽
(
にはか
)
に
晦
(
くら
)
むに驚きて顔を
挙
(
あぐ
)
れば、又
旧
(
もと
)
の如く
一間
(
ひとま
)
は
明
(
あかる
)
うなりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
老
(
おい
)
の一徹短慮に
息卷
(
いきま
)
き
荒
(
あら
)
く罵れば、時頼は默然として只〻
差俯
(
さしうつむ
)
けるのみ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
とかく言われてお登和嬢
俄
(
にわか
)
に
愁然
(
しゅうぜん
)
と
差俯
(
さしうつむ
)
きぬ。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
と
差俯
(
さしうつむ
)
いた処へ、玄関から、この人のと思うから、濡れたのを
厭
(
いと
)
わず、大切に抱くようにして持って来た。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「杯の月を
酌
(
く
)
もうよ、座頭殿。」と
差俯
(
さしうつむ
)
いて
独言
(
ひとりごと
)
した。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
俯
漢検1級
部首:⼈
10画
“差俯”で始まる語句
差俯向