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こゞころ
お
前の
父さんは
馬だねへと
言はれて、
名のりや
愁らき
子心にも
顏あからめるしほらしさ、
出入りの
貸座敷の
祕藏息子寮住居に
華族さまを
氣取りて
ましてや
此大島田に
折ふしは
時好の
花簪さしひらめかしてお
客を
捉らへて
串談いふ
處を
聞かば
子心には
悲しくも
思ふべし、
去年あひたる
時今は
駒形の
蝋蠋やに
奉公して
居まする
婆「何ういう訳で大事の
親父をまず捨てゝ、
己が方の田舎へ来てえ、不自由してもと
児心にも思うは
能く/\だんべえと思うからお呉んなさえ、
縁切でお呉んなさえ」