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ぐわいたうし
茶の
外套氏が
大欠伸をして
起きた。
口髯も
茶色をした、
日に
焼けた
人物で、ズボンを
踏み
開けて、どつかと
居直つて
此が、
少なからず
茶の
外套氏を
驚かして、
渠をして
駅員に
急を
告げしめたものに
相違ない。
……
其の
中で、
山高が
突立ち、
背広が
肩を
張つたのは、
皆同室の
客。で、こゝで
園と
最う
一人——
上野を
出ると
其れ
切寝たまゝの
茶の
外套氏ばかりを
残して、
尽く
下車したのである。