“くちど”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クチド
語句割合
口疾36.4%
口止18.2%
口迅18.2%
口処9.1%
口留9.1%
口禁9.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたくしが何と申上げる言葉もないままでおりますと、松王様はなおもつづけて、お口疾くちどにあとからあとからあふれるように、さながら憑物つきもののついた人のようにお話しかけになります。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
呼び手前一人ひとりあとに殘されたと云ふが御奉行樣が何を御聞なされたかはなしてきかせよと云共いへども大岡殿よりかね口止くちどめありしかばさらに物を云ず默止もくしるにぞ久兵衞は急込じれこみヤイ三吉何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
万葉および万葉以前の女性とさえ言えば、すぐれて早く恋を知り、口迅くちどに秀歌を詠んだもののように考えられてきている。しかしこれとてもやはり、伝説化せられたものに過ぎなかったのである。
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
これはあまり明瞭めいりょうでないが「かますご食えば風かおる」の次に「ひる口処くちどをかきて気味よき」
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
たとえばやはり同じ『灰汁桶あくおけ』の巻で、芭蕉の「ひる口処くちどをかきて気味よき」や「金鍔きんつば」や「加茂の社」のごときはなかなか容易に発見されるような歯車の連鎖を前々句に対して示さない。
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その、誰にも言うな、と堅く口留くちどめをされた斉之助せいのすけという小児こどもが、(父様とっさま野良のらへ行って、穴のない天保銭てんぽうせんをドシコと背負しょって帰らしたよ。)
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お吉のいぬを不審してどこへと問えば、どちらへかちょと行て来るとてお出でになりました、と何食わぬ顔でおんなの答え、口禁くちどめされてなりとは知らねば、おおそうか、よしよし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)