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かだま
さても富みて
驕らぬは
大聖の道なり。さるを世の
悪きことばに、
三六富めるものはかならず
慳し。
五三仏菩薩の
教の広大なるをもしらず、愚かなるまま、
五四慳しきままに世を終るものは、其の
五五愛慾邪念の
五六業障に
攬かれて、或は
五七故の
形をあらはして
恚を
報い
夫のおのれをよく
脩めて
九教へなば、此の
患おのづから
避くべきものを、只
一〇かりそめなる
徒ことに、女の
一一慳しき
性を
募らしめて、其の身の
憂をもとむるにぞありける。
或ひは
一一二山
賤の
椎柴をおほひて雨露を
凌ぎ、
終に
擒はれて此の嶋に
謫られしまで、皆
義朝が
姦しき
計策に
困められしなり。