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かいくぐ
見る見る
朱き
蛇は、その燃ゆる色に黄金の
鱗の絞を立てて、菫の花を
掻潜った尾に、主税の手首を巻きながら、
頭に婦人の
乳の下を
紅見せて
噛んでいた。
中に
一人真先かけて、壁の穴を
塞いで居たのが、此の時、
掻潜るやうにして、
恐い顔を出した、
面の
大さ、
梁の
半を
蔽うて、血の
筋走る
金の
眼にハタと桂木を
睨めつけた。
婦人は
上框に立ちたるまま、
腕を延べたる半身、
斜に狭き
沓脱の上に
蔽われかかれる。その袖の下を
掻潜りて、
衝と
摺抜けつつ、池ある
方に走り
行くをはたはたと追いかけて、
後より
抱き
留め