“うつつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウツツ
語句割合
95.7%
現実2.9%
幻覚0.5%
精神0.5%
0.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、冷たいしずくが、襟もとへぱらと降った。——ふと、うつつに返った後醍醐は、がくとお顔を振りあげて、そのお眸を朝雲にすえたまま、
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆめうつつの境の——第七しきのはたらきが、彼をして、突然、何ということもなく、枕もとのよろいを、手早く身につけさせていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
益之助はこんなことを云っていたが何時の間にか眠ってしまった。女房もうとうとして夢ともうつつとも判らない状態にあった。何処かで女の声がした。
宝蔵の短刀 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
少しも眠れなかったごとく思われたけれど、一睡の夢の間にも、豪雨の音声におびえていたのだから、もとより夢かうつつかの差別は判らないのである。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
軽くせなをさすられて、われうつつになる時、むね、天井の上とおぼし、すさまじき音してしばらくは鳴りもまず。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼女は仮死の状態から、現実うつつのこの世へ立ち帰った。全身に汗が流れている。その汗を拭いて、すやすやと、彼女は今度こそ本当の快い眠りにはいって行った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
デュアック 雲が月を覆うております。王さま、あちらにまいりましょう、今夜こよいは夢でございます、明日あすが待っております、明日あすになれば、夢が現実うつつとなりましょう。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
多分、この時の熟睡の中にも、旅中しばしば繰返されたその夢に、ついさき、見せられた故郷の山河が織り込まれて、相変らず、生と、死と、現実うつつと、まぼろしとの境に、引きずり廻されているに相違ない。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
——歳 軋り 現実うつつに入りまた
独楽 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
おぼえずはっとして現実うつつにかえれば、みみるはただすさまじきなみおとかぜさけび——が、精神こころしずめるとまたもやみぎあやしきささやきがはっきりとみみきこえてまいります……。
うつくしき人が、うつくしき眠りについて、その眠りから、さめる暇もなく、幻覚うつつのままで、この世の呼吸いきを引き取るときに、枕元にやまいまもるわれらの心はさぞつらいだろう。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
北千住きたせんじゅうに今も有るんとか云う小間物屋の以前もと営業しょうばいは寄席であったが、亭主が或る娼妓しょうぎ精神うつつをぬかし
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
駭然がいぜんとして夢かうつつ狐子こしへんせらるるなからむやと思えども、なお勇気をふるいてすすむに、答えし男急にびとめて、いずかたへ行くやと云う。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)