“あぶらぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
脂切56.0%
膏切24.0%
油切8.0%
脂漲4.0%
脂肪切4.0%
4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
年の頃は五十前後、充分に脂切あぶらぎつて、ギラギラする袷や、銀鎖ぎんぐさりの逞ましい煙草入や、身の廻りの物一つ/\にも、馬鹿々々しい見得があふれて居ります。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
待つ間ほどなく現われたのは、剃り立ての坊主頭の被布ひふまとった肥大漢で、年は五十を過ぎているらしく、銅色をした大きな顔は膏切あぶらぎってテカテカ光っている。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あさには患者等くわんじやらは、中風患者ちゆうぶくわんじやと、油切あぶらぎつた農夫のうふとのほかみんな玄關げんくわんつて、一つ大盥おほだらひかほあらひ、病院服びやうゐんふくすそき、ニキタが本院ほんゐんからはこんでる、一ぱいさだめられたるちやすゞうつはすゝるのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼は自分の親指と人差指がいつもよりも大層脂漲あぶらぎって変な感じがした。若い尼の顔の上の脂が彼の指先に粘りついたのかもしれない。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
とびが出るか、たかが出るか、難産中で今日いまの処は何とも言へぬが、三十三四の、脂肪切あぶらぎつた未亡人を主人公に、五六十回続けて見ようと思ふが、問題が問題であるから
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
彼等は、屍の腹の皮の上に要塞を築いたが、そこが一番あぶらぎっているからである。彼等はこんなことを選択するのに、非常に悧巧である。
不周山 (新字新仮名) / 魯迅(著)