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膏切
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あぶらぎ
ふりがな文庫
“
膏切
(
あぶらぎ
)” の例文
両足を
湯壺
(
ゆつぼ
)
の中にうんと踏ん張って、ぎゅうと
手拭
(
てぬぐい
)
をしごいたと思ったら、
両端
(
りょうはじ
)
を握ったまま、ぴしゃりと、音を立てて
斜
(
はす
)
に
膏切
(
あぶらぎ
)
った背中へあてがった。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
待つ間ほどなく現われたのは、剃り立ての坊主頭の
被布
(
ひふ
)
を
纏
(
まと
)
った肥大漢で、年は五十を過ぎているらしく、銅色をした大きな顔は
膏切
(
あぶらぎ
)
ってテカテカ光っている。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
衣紋
(
えもん
)
背の
半
(
なかば
)
に抜け、帯は毒々しき
乳
(
ち
)
の上に
捩上
(
よれあが
)
りて
膏切
(
あぶらぎ
)
ったる
煤色
(
すすいろ
)
の肩露出せり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかしその
膏切
(
あぶらぎ
)
って肥満しているところを見ると御馳走を食ってるらしい、豊かに暮しているらしい。吾輩は「そう云う君は一体誰だい」と聞かざるを得なかった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
貸本屋へしけ込むのは、道士
逸人
(
いつじん
)
、どれも
膏切
(
あぶらぎ
)
った
髑髏
(
しゃれこうべ
)
と、
竹如意
(
ちくにょい
)
なんだよ——「ちとお慰みにごらん遊ばせ。」——などとお時の声色をそのまま、手や肩へ貸本ぐるみしなだれかかる。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
肝まで
溶融
(
とろ
)
けて、
蕩々
(
とろとろ
)
に
膏切
(
あぶらぎ
)
った身体な、——気の消えそうな薫の
佳
(
い
)
い、湿った暖い霞に、虚空
遥
(
はるか
)
に揺上げられて、天の果に、蛇の目玉の
黒金剛石
(
くろダイヤ
)
のような
真黒
(
まっくろ
)
な星が見えた、と思うと、
自然
(
ひとりで
)
に
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
膏
漢検準1級
部首:⾁
14画
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“膏”で始まる語句
膏
膏薬
膏汗
膏血
膏藥
膏肓
膏薬売
膏脂
膏腴
膏気