)” の例文
子供こどもたちは、かってな理屈りくつをつけて、さおにさおをして、どうかしてたかえだまでとどくようにしたいと苦心くしんしていました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
 明けくれば 国のかためを 身もあらに 瞑想おもひこらしつ 天皇すめらぎの まさきせと おみなべて 和ぐ日をや 民なべて らふ時を
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
その想像をして有村に逐一ちくいちのことを話していると、さらにまた五、六騎、大地をうってくるひづめの音が、闇の街道を乱れあってきた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
機械きかいとどろき勞働者ろうどうしや鼻唄はなうた工場こうばまへ通行つうかうするたびに、何時いつも耳にする響と聲だ。けつしておどろくこともなければ、不思議ふしぎとするにもらぬ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「大河内家には年頃の娘がある、もつともこいつは恐ろしい不縹緻だ。人三化七と言ひ度いが、人一化九で、少々智惠の方もりない」
海の上ではそんな事は薬のしにしたくもない。真裸な実力と天運ばかりがすべての漁夫の頼みどころだ。その生活はほんとに悲壮だ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
また人の昇降のぼりくだりするに當りて自然に從ふ處なるこの下界にては、動くこといかに速かなりともわが翼にたぐふにらじ 一〇三—一〇五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それでもまだ金のりない時には赤い色硝子いろガラス軒燈けんとうを出した、人出入の少い土蔵造どぞうづくりのうちへ大きい画集などを預けることにした。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
みんなしない身銭みぜにを切って菓子だの果物だのと持って来ては、医員に叱られるような大きな声で愉快な話をして慰めてくれた。
枯菊の影 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この先生の言としては怪むにらない、もし理窟りくつを言って対抗する積りなら初めからこの家に出入でいりをしないのである。と彼は思い返した。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ヴィクトリヤで用をして、テート画館のはた河沿かわぞいにバタシーまで来ると、今まで鼠色ねずみいろに見えた世界が、突然と四方からばったり暮れた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きのうまでの僕とは、ちがうのだ。自信をもっ邁進まいしんしよう。一日いちにち労苦ろうくは、一日いちにちにてれり。きょうは、なんだか、そんな気持だ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
わたしためにそれをつてるのです』と帽子屋ばうしや説明せつめいのやうにしました、『自分じぶんもの一個ひとつちません。わたし帽子屋ばうしやですもの』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
太綱ふとづな一端いつたん前齒まへばくはへてする/\と竿さをのぼりてたゞち龍頭りうづいたる。蒼空あをぞらひとてんあり、飄々へう/\としてかぜかる。これとするにらず。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひと生血いきちをしぼりたるむくひか、五十にもらで急病きうびやう腦充血のうじうけつ、一あさ此世このよぜいをさめて、よしや葬儀さうぎ造花つくりばな派手はで美事みごとおくりはするとも
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
箇月かげつらずの短時日たんじじつおいかくごとまへ好結果かうけつくわあらはしたとふことをかんがへると、國民自體こくみんじたい非常ひじやうよろこんでいことであらうとかんがへる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
この書一度ひとたび世にでてより、天下てんか後世こうせい史家しかをしてそのるところを確実かくじつにし、みずからあやまりまた人を誤るのうれいまぬかれしむるにるべし。
地震ぢしん出會であつた一瞬間いつしゆんかんこゝろ落着おちつきうしなつて狼狽ろうばいもすれば、いたづらにまど一方いつぽうのみにはしるものもある。平日へいじつ心得こゝろえりないひとにこれがおほい。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あえてとがむるにらずといえども、これを文字にしるして新聞紙上におおやけにするに至りては、つたえまた伝えて或は世人をあやまるの掛念けねんなきにあらず。
と、使者はそう云う口上を述べたが、なお附けして、時平が正月の三箇日のうちに、大納言のやかたへ年賀に見えるであろうと云う意を伝えた。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
毎日こゝかしこの木を心のまゝにきりとりてたきゞにつくり、小屋のほとりにあまたつみおき、心にるほどにいたればそのまゝにつみおきて家にかへる。
一般の英国人はそれ等の点に仏蘭西フランス人程の興味を持つて居ないらしく、一嗜欲しよくみたせばると云つた風に食事の時間迄が何となくせはしげだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「家主と喧嘩ばっかりするのもええけんど、まあ、きれいに、一ぺん、払いなさい。それから、新聞の方に廻しても、しにはなるじゃろ?」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
し出たるのち淨水てうづこまをりから斯々かく/\の娘を見染ぬ世に二個となき美人なればそゞろに戀しく思ひつゝ此美婦人このびふじんくらぶれば櫻もいかで物かはと花見を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ストーヴの火をどんどん焚きして長時間吹雪のなかにさすらってこごえて来た乞食の老爺の体をあたためて遣りました。
慈悲 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
幸い此家ここで逢うて見て私は大いに満足した。確かにあなたなれば信ずるにるから、どうか私を日本へ連れていって貰うことが出来ないだろうか
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
かれほとんどうごかぬやうにしててゝけばすつとふかしづんでしまつたやうにめてへぽちり/\と麁朶そだしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
冬時とうじこのかは灌水くわんすゐおこなふには、あらかじ身體しんたいるゝに孔穴こうけつこほりやぶりてまうき、朝夕あさゆふこの孔穴こうけつぼつして灌水くわんすゐおこなふ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
泊った浪人が路銀に困っているときけば三十石の船代はとらず、何かのしにとひそかに紙に包んで渡すこともあった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
のようなもので、これがよいとおもふようでは、あなたがた文學ぶんがくあぢはちからりないのだと反省はんせいしてもらはねばなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
かつてそれらの刺戟しげきに心を動かされたこともなかったと言って見たところで、それが何の弁解のしにも成らないのみか
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
っかさまが長い間お眼が悪く、貴方あなたも御苦労をなさいますと承わりましたから、おしになるようにと思いますが、思うようにも行届ゆきとゞきませんが
良人をつとの収入のそくにと思つて手内職をしようにも、「奥さん」と呼ばれてみると、さうもならず、つい小猫を相手にぶらぶら日を送る事になる。
すなわち万民安堵あんど、腹をしてるを知ることなれども、その足るを知るとは、なし、足らざるを知らざりしのみ。
教育の目的 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おくみはさういふ得手勝手なわけからではもとよりない。かうして何一つおかみさんのしにもならないのが済まないから色々に考へるのであつた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
こちらからよっぽどおしが行かにあ勘定にならん……受判頼んで先へ先へ借りてくるもんで、順に困るばっかりな!
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
したが、このこひ一卷ひとまき只一たゞひとらはぬことゝいふは、表紙おもてがみがまだかず、うつくしうぢてもい。うをはまだ沖中おきなかにぢゃ。
爺様じいさま御指導ごしどうのおかげ近頃ちかごろのあなたはよほど立派りっぱにはなりましたが、まだまだあきらめがりないようにおもいます。
まえのおたくにくらべたら、物置小屋ものおきごやにもりない住居すまいでござんすが、ここばっかりは、邪間じゃまするものもない二人ふたり世界せかい
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
勿論もちろん電光艇でんくわうていには試運轉式しうんてんしきとき積入つみいれた發動藥液はつどうやくえきが、いま多少たせうのこつてるが、ていのこつてけでは、一千海里かいり以上いじやう進航しんこうするにらぬほど
つぎまをしたいのは責任せきにんみづからるといふのてんであります。英學塾えいがくじゆく寄宿舍きしゆくしやには唯今たゞいま五十めいらずの生徒せいとます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
「絵は無理だよ。僕は見るのは好きだが、手は出せない。書だと何人だれでも子供の時分の下地があるから、いつ始めても普請ぶしんになるけれどもね」
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
また新石器時代しんせつきじだいのつゞいた年代ねんだい舊石器時代きゆうせつきじだいくらべてたいへんみじかく、舊石器時代きゆうせつきじだい十分じゆうぶんいちにもりないくらゐです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
演説の良否よりも、内容が半分もわかれば、それでるくらいに思うであろう。また恐らくは傍聴ぼうちょうの半数以上は聴くよりも日本人を見に来たのであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
わがはいのこの所見しよけんたいして、或人あるひとはこれを學究がくきう過敏くわびんなる迂論うろんであるとへうし、齒牙しがにかくるにらぬ些細ささい問題もんだいだといつたが、自分じぶんにはさうかんがへられぬ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ここを宿にして用しをしてゐること。晝間から飮んでゐて、もう、二三十本平らげたこと。自分がつきツ切りは面倒だから、藝者を呼ばしてあること。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
この地下茎ちかけいせば食用にするにるとのこと、また地方によりこれから澱粉でんぷんってしょくしているところがある。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
わたしはしぜんかれらの首領しゅりょうではあったが、この重大な場合に当たって、かれらに死生をともにすることをのぞむだけの威望いぼうりないことを感じていた。
いにしえより今に至るまで、成敗せいばいの跡、禍福の運、人をしておもいひそめしめたんを発せしむるにるものもとより多し。されども人の奇を好むや、なおもって足れりとせず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そのりない品ものというのは、一たいなんですか。たべものとか、水とかが足りないのではないのですか」
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)