魁偉くわいゐ)” の例文
いま社會しやくわいは一回轉くわいてんした。各個人かくこじん極端きよくたん生命せいめいおもんじ財産ざいさんたつとぶ、都市としは十ぶん發達はつたつして、魁偉くわいゐなる建築けんちく公衆こうしゆ威嚇ゐかくする。科學くわがくつき進歩しんぽする。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此処から見ると、一層魁偉くわいゐおもむきを呈して居るので、その雲煙の変化が少なからず、自分の心を動かしたのであつた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
此數多き預言者は、一つとして同じ人の石もて刻める摩西モセスに劣ることなし。何等の魁偉くわいゐなる人物ぞ。堂に入るものゝ心目は先づこれがために奪はるゝなり。
北庭筑波きたにはつくばが撮影した写真を見ると、北畠ドクトルは英吉利イギリス風の頬髯を蓄へた、容貌魁偉くわいゐな紳士である。
開化の殺人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その頃何處からともなく江戸に現はれた修驗者しゆげんしやで、四十五六の魁偉くわいゐな男でしたが、不思議な法力を持つと噂されて、僅かの間に江戸中の人氣をさらひ、谷中に建てた堂宇は、小さい乍ら豪勢を極め
魁偉くわいゐなる白髪の老翁になつてゐるのに邂逅した。
冬の夜がたり (新字旧仮名) / 永井荷風(著)