駈廻かけめぐ)” の例文
晩方になりて時刻もきたるに吉兵衛焦躁いらって八方を駈廻かけめぐり探索すれば同業のかたとまり居し若き男と共に立去りしよし。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さて徳太郎君は和歌山わかやま城下じやうかは申すにおよば近在きんざいなる山谷さんこく原野げんやへだてなく駈廻かけめぐりて殺生せつしやう高野かうや根來等ねごろとう靈山れいざんのちには伊勢いせ神領しんりやうまであらさるゝゆゑ百姓共迷惑めいわくに思ひしが詮方せんかたなく其儘そのまゝ捨置すておきけりこゝに勢州阿漕あこぎうらといふは往古わうこより殺生禁斷せつしやうきんだんの場なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)