頷首うなず)” の例文
リンピイはただ頷首うなずいた。が、彼が、いぎりす生れの「決して帰らない迷児まよいご」のひとりであることは、その語調で直ぐにわかった。
坊主頭は大きく頷首うなずいた。湯水の音がとしきり話しを消す。助五郎は軽石を探すような様子をしてふいと立ち上った。二人の遣り取りが続く。
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
千浪は大きく頷首うなずいて、髪から、かんざしを抜き取った。そして、大次郎の口もとから眼を離さずに、横ざまに片手をさし伸べて、行燈あんどん灯立ほたちをらした。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
愈々罪に服するかと問ますと彼れはそうですと云わぬばかりに頷首うなずきながら何うか独りで置て下さいと云うのです
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ビアトレスは美しい眉をひそめて、幾度も頷首うなずきながら、石段を下りて女のそばへ寄った。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
広告で見ると、可成りちゃんとした生活をしている寡婦が、色んな事情から、残余の人生の同伴者をもとめている真面目な態度が頷首うなずかれるのだ。
斧を持った夫人の像 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
と、ノウマは泣き笑いの顔を上げて、かすかに頷首うなずいたりするのが定則ていそくになっていたが、ところがこのごろは!
字で書いた漫画 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
成るく彼れの言葉を切縮きりちゞめさせんと思う如く、た感心する如くに「其通り、其通り」と軽く頷首うなず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
さてこそ独り胸に頷首うなずいて、勘次はすこし離れた個所ところに立っておりきの家へ張り込もうと考えたが、見つけられては面白くない、身を隠す塀もがなとあたりを見廻すと
きょうの「牛の略歴」に徴しても解るとおり、また現にいま、私の眼下に黄塵を上げて荒れ狂ってる「黒い小山」を見ても頷首うなずけるように、牛骨飽くまで太高く、牛肉肥大
勘次彦兵衛に挾まれてこの時追いついた小僧は、言葉も出ないようにただ頷首うなずいた。
成吉思汗ジンギスカンは打たれて、黙して頷首うなずく。一同席に就く。兵卒ら、酒肴など運びきたる。
モナ・ベクマンだのジャンヌ・ロチなんて、そんな名の女優さんがあったらお眼にかかりてえもんだ。知らねえのは恥だてんで、紳士連中しきりに頷首うなずくからね。そこがこっちのつけ目さ。
ごくりと唾を呑み込みながら、仙太郎は子供のように頷首うなずいて見せた。
で、私は、頷首うなずいた。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
彦兵衛は子供のように頷首うなずいたが、ふと思い出したように早口に
すると、不思議なことには、会主がにっこり頷首うなずいたものだ。
寛永相合傘 (新字新仮名) / 林不忘(著)
頷首うなずきながら聞き終った彦兵衛は
番頭はびっくりして、頷首うなずいた。
というこころ。勘次は頷首うなずく。
釘抜藤吉は頷首うなずいた。