音〆ねじめ)” の例文
……ついあひだとんさんにつて、はなしると、十圓じふゑんおどかすより九九九くうくうくうはうが、音〆ねじめ……はいきぎる……耳觸みゝざはりがやはらかで安易あんいい。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
内弟子の中で一番上手だという者の鼓の音〆ねじめはほかの誰のよりもまん丸くて、キレイで、品がよかったがそれでも私は只美しいとしか感じなかった。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
目と鼻の路地向うの二階屋から、沈んだ三味線の音〆ねじめがきこえている。細目にあけた雨戸の蔭には、お隣の灯の明るい障子のこまかいサンが見える。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
女の音〆ねじめには似も寄らぬ正しき太棹ふとざおの響折々漏れ聞ゆるにぞ談話は江戸俗曲の事また先頃先生のさる書肆しょしより翻刻を依頼せられしといふ『糸竹初心鈔しちくしょしんしょう』がことより
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
慎ましげに音〆ねじめをなすのみ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、すい音〆ねじめと聞えた美声。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)