面痩おもや)” の例文
團十郎だんじふらう澁味しぶみくはゝつたと、下町したまちをんなだちが評判ひやうばんした、御病氣ごびやうき面痩おもやせては、あだにさへもえなすつた先生せんせいかたへ、……あゝかじりついた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
盛りの美しさを備えた人が、いろいろな物思いのために少し面痩おもやせのしたのもかえって貴女きじょらしいえんな趣の添ったように見え、総角あげまきの姫君にもよく似ていた。
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
四邊あたりは斷草離離としてあとを着くべき道ありとも覺えず、荒れすさぶ夜々の嵐に、ある程の木々の葉吹き落とされて、山は面痩おもやせ、森は骨立ほねだちて目もあてられぬ悲慘の風景、聞きしに増りて哀れなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
相人さうにんよ愛欲せちに面痩おもやせて美くしき子に善きことを言へ
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
〽見る度ごとに面痩おもやせて、どうせながらえいられねば、殺して行ってくださんせ。
湯島の境内 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と包ましやかに、薄藤色の半襟を、面痩おもやせた、が、色の白いおとがいおさえて云う。
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)