青鈍あおにび)” の例文
青鈍あおにび色の几帳きちょうの感じのよいかげにすわっている尼君の袖口そでぐちの色だけにはほかの淡い色彩も混じっていた。源氏は涙ぐんでいた。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
よいできのほうを着て、柳の色の下襲したがさねを用い、青鈍あおにび色の支那しなにしき指貫さしぬき穿いて整えた姿は重々しい大官らしかった。
源氏物語:31 真木柱 (新字新仮名) / 紫式部(著)
派手はでな色でない山吹やまぶき色、黒みのある紅、深い紫、青鈍あおにびなどに喪服を着かえさせ、薄紫、青朽葉くちばなどのを目だたせず用いさせた女房たちが大将の給仕をした。
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
青鈍あおにび色の一そろいを夫人は新尼君のために手もとで作らせた。院は御所付きの工匠をお呼び寄せになって、尼用の手道具の製作を命じたりしておいでになった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
ここに来てこれを見た時から中納言の心は暗くなり、限りもない悲しみを覚えた。弁の尼にいたいと言うと、障子口をあけ、青鈍あおにび色の几帳のすぐ向こうへ来て挨拶あいさつをした。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
青鈍あおにび色の細長、落栗おちぐり色とか何とかいって昔の女が珍重した色合いのはかま一具、紫が白けて見える霰地あられじ小袿こうちぎ、これをよい衣裳箱に入れて、たいそうな包み方もして玉鬘たまかずらへ贈って来た。手紙には
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
空蝉うつせみの尼君には青鈍あおにび色の織物のおもしろい上着を見つけ出したのへ、源氏の服に仕立てられてあった薄黄の服を添えて贈るのであった。同じ日に着るようにとどちらへも源氏は言い添えてやった。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宮はつつましやかにお返事をお書きになって、お使いへは青鈍あおにび色のあや一襲ひとかさねをお贈りになった。宮がお書きつぶしになった紙の几帳きちょうのそばから見えるのを、手に取って御覧になると、力のない字で
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
青鈍あおにび色の柔らかい紙に書かれた字は美しいようであった。
源氏物語:20 朝顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)