難所なんしょ)” の例文
とにかくかれは、これまでにあったことのないようなふしぎな難所なんしょにとじこめられているのを知った。かればかりではない。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ま。……どう行っても、難所なんしょ切所せっしょはのがれがたい山路ばかり。土地ところにあかるい者の、案内まかせといたしておる」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みちはおじいさんがきにたつ案内あんないしてくださるので、すこしも心配しんぱいなことはありませぬが、それでもところどころあぶなつかしい難所なんしょだとおもったこともございました。
川をわたってからやく二マイルのところがれい難所なんしょなのだ。機関士きかんしも、十分じゅうぶん速度そくどおとしはするが、後部こうぶのブレーキは、どうしてもまかなければならないことになっている。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
風流にいえば千山万水だが、いよいよ彼方には二龍山、桃花山、傘蓋山さんがいざん黄泥岡こうでいこう白沙塢はくさう野雲渡やうんとなどという難所なんしょ切所せっしょやら野盗の名所が、行く先々にひかえている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに木曾路はゆくところみな難所なんしょ折所せっしょ、いざという場合にはいちだんと危険が多いように考えられる
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「播州の戦地は、山岳が多く、いわゆる折所せっしょ難所なんしょの戦いです。——まずまず御加勢のみをさし向けられ、しばらくは、敵の変を見ておいで遊ばすべきではないでしょうか」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)