陶醉たうすゐ)” の例文
新字:陶酔
手にをへないおびただしい寳に陶醉たうすゐした顏を擧げて、時々ニヤリニヤリとするのを、手柄をフイにした佐吉は忌々いま/\しくめ付けて居ります。
實際じつさいうんのつかないときたらこれほど憂欝いううつあそびはないし、ぎやくうんなみつて天衣無縫てんいむほうパイあつかへるときほど麻雀マージヤンこゝろよ陶醉たうすゐかんじるときはない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
やがて、金の力の宏大なのに陶醉たうすゐして、貫兵衞はもう一度、それが自分にそなはつた才能、徳望のやうに思ひ込んでしまつたのです。
大手柄に陶醉たうすゐして、八五郎はこんな事を言ひますが、仕事に神經質な平次はどうしても諦らめ切れません。
一色友衞の振り返つた眼には、藝術的陶醉たうすゐともで言ふのでせうか、夢見るやうなものがありました。
物慾に陶醉たうすゐしきつた人の魂は、名僧智識といへども、どうすることも出來なかつたでせう。
八五郎はもう自分の手柄に陶醉たうすゐして、平次の返事を疑つて見ようともしない樣子です。
最初金六に逢つて見ましたが、紋次郎を縛つた手柄に陶醉たうすゐして、今度は平次の言ふことなどを耳にも入れず、少しは痛め付けても、今日中に口書きを取らうとあせつてゐる樣子です。
傷といふものは一つも無く、強い腕で首のあたりを卷かれ、其儘扼殺やくさつされたことは疑もなく、衣紋の亂れのひどいのに比べて、顏は寧ろ陶醉たうすゐ的な、法悦的な安らかさをたゝへてゐるのです。
自分の手柄に陶醉たうすゐする小平に挨拶して、ほろにがい心持で自分の家へ引揚げる平次でした。考へると起きぬけをガラツ八にさそひ出されて、まだ朝飯も食はずに居たことに氣が付いたのです。
金太は自分の素早い手柄に陶醉たうすゐして、少しばかり良い心持さうです。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
八五郎は此發見と、手柄に、自分乍ら陶醉たうすゐしきつてゐる樣子です。
錦太郎は勝利感に陶醉たうすゐして亢然かうぜんとなりました。