なご)” の例文
「悪四郎、めでたいな。事は成就とみえた。沖のお船でも、みな首をなごうしておられるに相違ない。いざ、もどろう」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かがやかしい、希望きぼうちた、なつあいだは、かなりなごうございました。しかし、そのうちに、あきとなったのであります。
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「若旦那なら中どころを御註文なさいまさあ。若い方は鋳掛屋いかけや天秤棒てんびんぼうで先がなごうがすからな。然るところ旦那さまや手前どもになりますと、もう一番勝負です。後がありません」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
誠一が声をかけたので、目をうつつに開けば、わが影は灰のうえになごうして、脛吹き払う風も冷たい。骨のあったあたりにしゃがみ、ロザリオの祈りをとなえて、それで仕事を打ち切った。
ロザリオの鎖 (新字新仮名) / 永井隆(著)
けれども、花の鎖は引いても引いても尽きないほどなごう御座いました。
ルルとミミ (新字新仮名) / 夢野久作とだけん(著)
それゆへおみヽなごござる。