鉢巻はちま)” の例文
旧字:鉢卷
ついに博士はX号が持ちだした椅子にしばりつけられ、そして脳波受信機の収波冠しゅうはかんを頭にしっかりと鉢巻はちまきのようにかぶせられた。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
また紋付きの羽織はおりで、書机に向かって鉢巻はちまきをしている絵の上に「アーウルサイ、モー落第してもかまん、遊ぶ遊ぶ」
亮の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
隊長の関重之進は鉢巻はちまきをねじあげて、汗に洗われたそのあから顔が、鍬をふりあげるごとにぎらぎら輝いていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
というので、こう鉢巻はちまきで、ほうきやはたきをってとびんでました。でももうその時分じぶんにはもとのちゃがまになって、布団ふとんの上にすましていました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
群集の一部は、素っ裸にねじり鉢巻はちまきをした若い衆を先頭に、警戒を破って、和泉屋の大戸へ接近した。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
得物えものをもたず、たすきや鉢巻はちまきもしていないので、この番外試合ばんがいじあいのいきさつを知らない一ぱん群集ぐんしゅうには、ちょっと気抜きぬけがさせられたようすで、ふしんそうに見とれている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれが今町の入り口へさしかかると向こうから巌がやってきた、かれは頭に鉢巻はちまきをして柔道のけいこ着を着ていた。チビ公ははっと思って小路こうじにはいろうとすると巌がよびとめた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
与一が後ろ鉢巻はちまきを取りながら、台所へ炭箱をげて来た。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
少年たちは、繃帯を目のまわりに鉢巻はちまきのようにして巻いた、いたいたしい博士のまわりにあつまり、かわるがわるなぐさめのことばをのべた。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大工は鉢巻はちまきをはじめるし、木挽こびきはやすりの目をめてみるのであった。今までのところはとびと大工と木挽きであった。やがて左官や屋根屋が必要になるだろう。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
鉢巻はちまきでございますか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ちゃんと服を着ているよ。頭のところに白い布で鉢巻はちまきをしている。鉢巻きではなくて繃帯ほうたいかもしれんが……。ちょいと君、これで見てごらん」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
戸田老人はねじ鉢巻はちまきをして熊笹を刈りひろげていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)