しょう)” の例文
『馬琴日記しょう』の跋文ばつぶんにも、馬琴に向って、君の真価は動かない、君の永遠なる生命は依然としている、としています。つまり贔屓ひいきなのでしょう。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
前日記したる御籤みくじの文句につき或人より『三世相』の中にある「元三大師がんざんだいし御鬮みくじしょう」の解なりとて全文を写して送られたり。その中に佳人水上行かじんすいじょうにゆくを解して
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
良人の写した方の題簽には「しょう」という字が付いている、たぶん原本からなにか鈔録しょうろくしているのであろう、写し終えて綴じたものがもう六冊あまりもある筈だ。
日本婦道記:風鈴 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しこうしてその無聊ぶりょうに堪えざるや、書を獄外に飛して同志を鼓舞し、あるいは金を父兄に募りて、獄中の仲間を饗応きょうおうし、あるいは書をしょうし、あるいは文を草し、あるいは詩歌しいかを詠じ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
唯識論ゆいしきろんとか、百法問答しょうとかいう難解なものすら、十二歳のころに上げてしまったし、十五歳の時には、明禅法印めいぜんほういんから、密法みっぽう秘奥ひおうをうけて、かつて、慈円僧正が大戒だいかいを授けた破例を
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よって其の護衛を削り、其の指揮宗麟そうりんちゅうし、王を廃して庶人となす。又湘王しょうおうはくいつわりてしょうを造り、及びほしいままに人を殺すを以て、ちょくくだして之を責め、兵をってとらえしむ。湘王もと膂力りょりょくありて気を負う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)