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鈍物
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どんぶつ
ふりがな文庫
“
鈍物
(
どんぶつ
)” の例文
「ふん、忠告か。そういえば、同じ手法のくりかえしで気がさすが、世の中には
鈍物
(
どんぶつ
)
が多いから、まだこの手法を知られていないつもりだが」
すり替え怪画:烏啼天駆シリーズ・5
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
君のような敏感者から見たら、僕ごとき
鈍物
(
どんぶつ
)
は、あらゆる点で
軽蔑
(
けいべつ
)
に
値
(
あたい
)
しているかも知れない。僕もそれは承知している、軽蔑されても仕方がないと思っている。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まったく、
悟空
(
ごくう
)
のあの実行的な天才に比べて、三蔵法師は、なんと実務的には
鈍物
(
どんぶつ
)
であることか! だが、これは二人の生きることの目的が違うのだから問題にはならぬ。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「
鈍物
(
どんぶつ
)
の一念でしょう。
悧巧
(
りこう
)
でないから、なお、始末がお悪いにちがいない。はははは」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或る時、非常なる
辱
(
はずかし
)
めに会ってから、さすがの
鈍物
(
どんぶつ
)
も藩の道場に姿を見せなくなった。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
扉口には二人の頑丈な
鈍物
(
どんぶつ
)
が立ちはだかっているのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「一目見てこれは
鈍物
(
どんぶつ
)
だ、と折紙がつくくらいに」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
鈍物
(
どんぶつ
)
!」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「それ見ろ。なんにもないじゃないか。貴様は恩知らずだ。底の知れない
鈍物
(
どんぶつ
)
だ。ああ貴様のような奴は、もうわしのところへは置いておけない。とっとと出て行け」
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「——人間、あまり重宝がられるのもよし
悪
(
あ
)
しだよ。むしろ
鈍物
(
どんぶつ
)
に生れて、生涯一度か二度という時に、一生の働きをいちどにして、あとは不器用者といわれていたほうがいい」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世の中では
否応
(
いやおう
)
なしに自分の好いた女を嫁に
貰
(
もら
)
って
嬉
(
うれ
)
しがっている人もありますが、それは私たちよりよっぽど世間ずれのした男か、さもなければ愛の心理がよく
呑
(
の
)
み込めない
鈍物
(
どんぶつ
)
のする事と
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
鈍物
(
どんぶつ
)
の
性
(
さが
)
にござりますが、一心仏学によって生涯し、また、生きがいを見出したいと念じまする者、何とぞ、お
鞭
(
むち
)
を加えて、
御垂示
(
ごすいじ
)
をねがいまする」と、大床の板の
間
(
ま
)
にひれ伏して
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わしに
天稟
(
てんぴん
)
があれば、道に達する日もあろうが、わしに素質がなければ、生涯かかってもまだこのままの
鈍物
(
どんぶつ
)
でいるかも知れん。——それになによりは、目前に死を期していることがある。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
およそ、どこの屯所にも、
鈍物
(
どんぶつ
)
はいるが、あんなのは、見たこともない。何を話し合ってみても、
曖昧
(
あいまい
)
な生返辞ばかりしているし、酒を飲み合っても、あの通りだ。昔ばなし一つした
例
(
ため
)
しがない。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俺には、
佐幕
(
さばく
)
の勤王のという資格がない。生まれついての
鈍物
(
どんぶつ
)
なのだ。鈍物なりに世間の邪魔にならないように、そして、自分のがらに合った世渡りを隅田川の
蜆
(
しじみ
)
みたいに送りゃあいいと思っている。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“鈍物”の意味
《名詞》
鈍才の者。馬鹿な人。
(出典:Wiktionary)
鈍
常用漢字
中学
部首:⾦
12画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“鈍物”で始まる語句
鈍物参謀