金糸雀かなりや)” の例文
旧字:金絲雀
で、旅宿やどやの一で出来るだけ小さくなつて、溜息ばかりいてゐると、次の日曜日の朝、夫人は金糸雀かなりやのやうな声ではしやぎ出した。
金糸雀かなりやのやうな声を出して、短い言葉にたつぷり艶をつけて云ふので、天の使にものを云うて貰ふ位美しいものであつた。
世間ではこの草を金糸雀かなりやの餌にする事は誰れでも知っているだろう。またこの草を焼いて灰と成し、塩を交えてハコベジオと称する歯磨き粉を製する。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
水のようにき出して私は物の哀れを知り初めるという少年のころに手飼いの金糸雀かなりやかごの戸をあけて折からの秋の底までもあいたたえた青空に二羽の小鳥を放してやったことがある。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
その葉のゆめの金糸雀かなりやのごとくにるころを
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
金糸雀かなりやにうまゐめて
文月のひと日 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ありとなり、金糸雀かなりや
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
金糸雀かなりや
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
礼儀正しい公爵夫人は、金糸雀かなりやのやうな口もとをして、二言三言記者の問ひに答へてゐた。無論金糸雀同志の事だ、精々の粟粒か卵の事でも話し合つてゐるらしかつた。
すると何処からか金糸雀かなりやのやうな声が突つ走つた。
と言つて娘は金糸雀かなりやのやうに声を立てて笑つた。
侯爵は籠の金糸雀かなりやのやうに、一寸首をかしげた。
をんな金糸雀かなりやのやうに口をすぼめて笑つた。