金儲かねもうけ)” の例文
「なに構わん。どうせあすんどるんだから。しかし人間も遊んどる暇があるようでは駄目じゃな、君。ちっとなんぞ金儲かねもうけの口はないかい」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蟠「そうか、此処こちらへ通せ、おゝ婆アか、久しぶりだな、何時いつも達者で結構々々、うだ近頃は金儲かねもうけでも有るかな」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
サモアにとってわざわいなことに、彼等白人はことごとく——政務長官から島巡り行商人に至る迄——金儲かねもうけの為にのみ来ているのだ。これには、英・米・独、の区別はなかった。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
英、米、伊、露、等の各国の無頼漢が参加するに及んで、遂に大仕掛の政治的金儲かねもうけ手段を引受くる大団体と化し、一時桑港サンフランシスコに移しておりました本部を更に東、紐育ニューヨークに移し、名士、富豪の暗殺
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この他、平日にても普請ふしんといい買物といい、また払物はらいものといい、経済の不始末ふしまつは諸藩同様、枚挙まいきょいとまあらず。もとより江戸の町人職人の金儲かねもうけなれども、その一部分は間接に藩中一般のにぎわいたらざるを得ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
いえ、もちろん手前の手に渡れば金儲かねもうけけのかてにいたします。
実業家も無闇むやみ金儲かねもうけ金儲といって騒いだ。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いやしくも人間たるものが金儲かねもうけの意味さえ知らないで、こむずかしい口巧者くちこうしゃな事を云うから、気の毒だと云うのでどてらは笑ったのである。自分は今が今まで死ぬ気でいた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)