賃銀ちんぎん)” の例文
ハワイのヒロはホノルルに次ぐ都会であるが、そのヒロに某と云う商店があって、賃銀ちんぎんの関係から支那しな人や日本人を事務員に使っていた。
机の抽斗 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
三度目に掛合かけあつた老車夫らうしやふが、やつとの事でおとよの望む賃銀ちんぎん小梅こうめきを承知した。吾妻橋あづまばしは午後の日光と塵埃ぢんあいの中におびたゞしい人出ひとでである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
相手は新造しんぞうですから、賃銀ちんぎんなんかいいかげんにめて、駕籠のたれを上げると、娘は小風呂敷包みを持ったまま、馴れた調子でポンと乗りましたが
きやくからめてつた賃銀ちんぎんあたまでつかちにつかんでしりつこけに仲間なかまおとすのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
最近、世間は多少景気を持ちなおして、人夫の不足を来す傾向を示し出したので、労働者は何処に行っても一日相当の賃銀ちんぎんになるのであった。そういう意味のことが李聖学の態度に観取かんしゅされた。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
乙樂人 ぎん調しらべふのは、はて、樂人がくじん賃銀ちんぎんもうくるからぢゃ。