諸人もろびと)” の例文
さて、この船出の写真絵を見ると、諸人もろびとが皆、祈っている。日頃、金椎キンツイがするように、小舟の中に行く人も、岸に立って送る人も、みな祈っている。
此の礁が一日も早くれまして、此の荒海を往来する諸人もろびとをお助けくださいますようにお願いいたします。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「梅の花折りてかざせる諸人もろびとは今日のあひだは楽しくあるべし」(巻五・八三二)、「真袖もち床うち払ひ君待つと居りし間に月かたぶきぬ」(巻十一・二六六七)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
きことの限りをして、諸人もろびとをなつけたる故に、聖人はまことに善き人めきてきこえ、又そのつくり置きたる道のさまもうるはしくよろずにらひて、めでたくは見ゆれども
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これぞ神のはからい給う悪事への諸人もろびとに示す証跡であり、神尾とタカ子の関係はもはやヌキサシならぬものの如くに思われて、かゝる確証を示されたことの暗さ、救いのなさ
アンゴウ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
今はたゞ恨みもあらず諸人もろびとの命に代るわが身と思へば
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞けよ、諸人もろびと、「愛」は今、このたをやめを
泣けよ恋人 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
諸人もろびとの、諸人の眼の犠牲いけにえに供えむとて。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いざ諸人もろびとよ、おゝ、さらば愛さんかな、唄はんかな、それだけさ
外套と青空 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
八百千年やおちとせありこしことも諸人もろびとしとし知らば改めてまし
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
諸人もろびとむちに追われ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)