うた)” の例文
それが、「三斎さんさいの末なればこそ細川は、二歳にさいられ、五歳ごさいごとなる。」とうたわれるような死を遂げたのは、まったく時の運であろう。
忠義 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
我かならず三二万歳をうたふべしと、きて香央に説けば、彼方かなたにもよろこびつつ、妻なるものにもかたらふに、妻もいさみていふ。
尤も古い歌には人情をうたい恋愛を諷い哀別離苦を諷い無常を諷うものが多いのでありますが、そのうちに風景を諷う歌もあるのであります。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
この支那服の人が、のち三上於菟吉おときちと艶名をうたわれ、汎太平洋婦人会議へ出席、女流飛行家となって死んだ北村兼子君である。
わが寄席青春録 (新字新仮名) / 正岡容(著)
察する所、昔はもつと自由に、地名が移動したのであつて、譬へば、天孫降臨を伝へる叙事詩をうたへば、直ちに其処が、日向の地になつたであらうと思ふ。
神道に現れた民族論理 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ただ営々として生活しつつある。その生活を包むものに花鳥風月がある。花鳥風月を透して私等の生活をうたうのが俳句である。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
手練手管はさらにないわけだからという意味の都々逸をうたったりしたのが、おおいに江湖の同情を招いたのだろう。
艶色落語講談鑑賞 (新字新仮名) / 正岡容(著)
今豊臣のまつりごと久しからずとも、万民ばんみん一五三にぎははしく、戸々ここ一五四千秋楽をうたはん事ちかきにあり。君がのぞみにまかすべしとて八字の句をうたふ。そのことばにいはく
即ち感情を起さしめたその事実景色をうたわしめるのである。そういう句には陳腐なものもあり平凡なものもあるが嫌味いやみを感ぜしめるものはすくない。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
うたう時決まって不自然に右手を高くあげたやぞうをこしらえて——といったような段どりよろしく諷い始める、めちゃめちゃに文句の錯乱した「梅にも春」や「かっぽれ」は
随筆 寄席風俗 (新字新仮名) / 正岡容(著)
俳句はこの時候の変化につれて起ってくるいろいろの現象をうたう文学であります。(10)
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)